ホウレンソウは、アカザ科に属するヨーロッパ原産の野菜です。同じアカザ科の野菜としては、トンブリやフダンソウ、テンサイなどもあります。また畑の雑草として嫌われるアカザやシロザもホウレンソウに近い植物で、昔は食用とされていたのだそうです。アカザ科の特徴は植物体内にしゅう酸を含んでおり、しゅう酸は食べすぎるのは体に悪いとされます。しかし、ゆでたり調理することによって問題はありません。ホウレンソウの栄養分はとても豊富で、カロチンやビタミン類、タンパク質などを高水準で含んでいます。
ホウレンソウを栽培する前に、ホウレンソウはアルカリ性の土壌を好むことに気をつけて用土を調整します。日本の土壌の多くは火山灰性由来のものが多く、土壌の酸度も酸性傾向のものが一般的です。そこでホウレンソウを植え付ける前には石灰などを混ぜて中和しておく必要があります。ホウレンソウは他の植物よりもアルカリ性を好むので多少多めに石灰を加えてもよいでしょう。ホウレンソウは花芽が分化すると筋がきて硬く不味くなります。ホウレンソウのようなアカザ科は雌雄異株なのですが、雌株の方が花芽がたちにくく、全体的に柔らかく美味しいといわれ、園芸でも雌株の需要が多く人気があるようです。最近の交配技術で雌株のみしか発芽しない種もあるようです。
ホウレンソウの植え付けは春まきと秋まきの年間2期があります。秋まきの場合は寒さのために味が濃くおいしくなるので、ホウレンソウを味わう場合には秋まきがおすすめです。収穫も特に限定されておらず、若いものから、大きくなったものまで、適当に摘んで食用にするだけです。苗も寒さに強いものですが、霜などの心配がある時は寒冷紗などで直接覆いをしてやると良いでしょう。ホウレンソウは肥料の効きもよく、速く大きくさせたい場合には十分に肥料を与えると良いでしょう。石灰と窒素が含まれた固形肥料を数回にわたってパラパラとまいておけば良いでしょう。
ホウレンソウの害虫はアブラナ科の作物ほどには多くありません。気温が高温状態が続く環境では弱りやすいため、アブラムシやベト病の被害を受けやすくなります。ホウレンソウはプランターなどでも簡単に育てることができるので、家庭菜園には持ってこいの作物と言えるでしょう。